SSブログ

流線型蒸機列伝9:LNER class A4 Mallard / Hornby 3173 [メルクリン/鉄道模型]

流線型蒸機といえば外すことのできない、速度記録保持機 Mallard号である。
IMG_1214a.jpg
London and North Eastern Railway(LNER) Class A4
Nigel Gresley設計、初号機1935年建造 Mallardは1938年
車軸配置2'C1(4-6-2)、3気筒、動輪径2032mm
流線型のボディは空気抵抗を減少させるのみならず、先端付近に上昇気流を発生させ排煙を視界から除く効果があった。そのため本機には除煙板は装備されていない。
他の技術的特徴としてはKeychap double chimneyがある。これはフランス人技術者Andre Chapelon考案によるもので、煙突から火室煙と蒸気を効率よく排気するためノズルを組み合わせて排気流速を上げるように工夫したもののようだ。
IMG_1227a.jpg
また、後述するが従輪はCartazzi wheelという特殊な構造となっている。
Mallard号(A4 4468)は1938年に202.8km/hの速度記録を達成した。これは1936年にドイツのBR05 002が記録した200.4km/hの記録を塗り替え、以降蒸気機関車による速度記録タイトルを保持している。設計者のGresleyは210km/hまではイケると考えていたようだが、第二次世界大戦の勃発とともに新たな記録への挑戦はお流れとなり、蒸気機関車時代は終焉を迎えてしまった。
IMG_1215a.jpg
さて、この機関車、超有名と思われるのだがメルクリンからは模型化されていない。イギリスがドイツの仇敵でありBR05の速度記録を破ったライバルだからだろうか?そういえばメルクリンは他の英国型も見た覚えがないなぁ・・・英国では1/76のOOゲージが普及しており、1/87のHOゲージ模型のセールスが期待できないからかもしれない。(縮尺は異なっても軌間は同じ16.5mmなのでレールは共用できるのだが・・・)
というわけで、1/76 OOゲージのHornby製品である。
Hornbyの製品は中国で生産されている。シャーシは金属製でエンジンドライブ、上まわりはプラスチック製という構成。流線型フェアリングはネジ1本で外す事ができ、シャーシはカンモーターがウォームギアで3軸の動輪を駆動しているようだ。
IMG_1211a.jpg
DCC readyとのことで、シャーシには8ピンのコネクタが装備されており、アナログ機の場合はジャンパが刺さっている。これに8ピンのデコーダーを挿せばデジタル化できるというわけである。
集電は動輪とテンダーの車輪からで、テンダーと本体の結合部には2系統の電気的道通が可能な接触端子が備えられており、テンダーからの集電を伝えるようになっている。
IMG_1213a.jpg
3線化のため動輪部ギアボックス部のネジを利用してセンターシューを取り付ける。後ろに見えている従輪には首振り機構がない代わりにフランジがなく、カーブに追従しやすくしているようだが最小回転半径は438mmと大きめである。
IMG_1220a.jpg
この首振りしない従輪は、模型の低コスト化のためかと思ったが、そうではなく"Cartazzi wheel"という、固定フレームで従輪が軸ごと左右に水平移動する実機の仕組みのようだ。模型ではフランジをなくすことで対処しているというわけ。
IMG_1212a.jpg
テンダーを開けてみると、中にはモーターマウントらしきものがある。つまり以前はテンダードライブだったモデルのものをそのまま流用しているのだろう。
IMG_1228a.jpg
このスペースにスピーカーを設置すればサウンド化も可能と思われるが、今回は簡単に普通のデコーダーのみ装着した。
試しにメルクリンR1=360mmのCトラックを走らせてみたが、先輪が脱線するためR1は無理のようだ。低速は非常に効き、モーターの動きも滑らかだが、動輪にトラクションタイヤがないので牽引力は期待できそうにない。
このMallard号、Hornbyのホームページから購入出来るのだが、速度記録75周年記念モデルとかで何故か少し安く販売している。83ポンド(ユーロではない)である。同型のClass A4が120ポンドくらいで、Cab内などにディティールの追加があるのかもしれない。
メルクリンなどに比べると廉価な印象であるが、前照灯や発煙などのファンクションもなく全体のディティールもあっさりとしているので妥当な価格設定と言えるのかもしれない。


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 4

300B

マラード号キター!(^^)!

ドイツ物とは違って大英帝国機はスタイルが優雅ですねー。
加えて、カラーリングが種類豊富な英国型は以前から気になっています。

そういえば英国型って何気に流線型機が多いですよね(悪魔の囁き)

ではでは
by 300B (2014-06-30 23:47) 

okadoc

300Bさんどうも。
悪魔の囁きにやられてしまいました・・・・
武骨で装甲車のようなドイツ製もよいが英国型も優雅で独特なカラーリングがされていてよろしいですな
でも収拾がつかなくなりそうなので、ここらでやめときます。
バックオーダーになってたHWTも発送されたようだし・・・・
by okadoc (2014-07-01 17:16) 

Bemo

はじめまして

マラードいいですね。Heljan のガラットも良さそうですが。

 私は Hornby の LMS 4-6-2 "Hamilton 公爵夫人"を持っています。
 これも、DCC Ready で、3線化を試そうかと思っております。
 安価なDigitrax のDCCデコーダを試そうかと思っておりますが、ヨーロッパ系デコーダも考えております。

 もしもよろしければ、記事の例のデコーダ名、ご教授願えませんか?

by Bemo (2014-07-01 21:30) 

okadoc

Bemoさんはじめまして
装着したデコーダーはESUのLokpilotだと思います。他社の機関車(多分PICO)をサウンド化した時に外して余っていたもので、マルチプロトコルですがDCCで登録しています。8ピンのサウンドなしデコーダーは25ユーロ位の値段で入手でき、ESUは品番54610、メルクリンのmLDデコーダーは60962です。前照灯や発煙などのファンクションも制御可能なのですが、この機関車には付いていないのでもったいないかもですね。
by okadoc (2014-07-02 12:34) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。