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流線型蒸機列伝5:BR 05 003号機 / Liliput 131541 [メルクリン/鉄道模型]


流線型蒸機列伝3:BR05 / Marklin 37052




BR05 はBR03.10での流線型カバーのテスト後、Borsig社で新たに開発された3シリンダー機で、1935年に3機(05 001~003)が完成した。001, 002は同型であるが、05 003は運転室を先頭部に配した、「キャブフォワード」タイプのカバーを纏っており、ディーゼル機関車のような外見をしている。動輪径230cm, 車軸配置2'C2'h3(003号機は2'C2'h2)、炭水車2'3 T37St(同2'3 T35Kst)、全長26.265m(同27m)、総重量118.5t(同129.5t)である。スペック上の最高速は175km/hであるが、1936年に002号機が200.4km/hの速度記録を達成した。2年後に英国のMallad号に記録を破られるまで世界最速の機関車であった。3機ともWWIIを生き抜き、流線型カバーを外されたり、出力をデチューンされたりしながら1958年まで使用された。その後、001号機はニュルンベルグの博物館で静態保存され、002/003号機はスクラップにされたとのことである。

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BR05 003号機は、これまでモデル化されていなかった(と思う)が、2012年にLiliputの新製品としてリリースされた。003号機のみ、運転室が流線型カバーの先端部にある、「キャブフォワード」形状で、煙突もエンジン部後方に位置しており、ディーゼル機関車のような特異な外見をしている。でもハッキリ言ってカッコ悪い・・・
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Liliput社は元々オーストリアの老舗メーカーであったが、倒産し後に米国型HO模型のBachmanグループに吸収されBachman Europeとして英国に籍を置いている。新製品は中国で生産されている。製品ラインアップはこの003号機や装甲列車、ミリタリー分野などかなりマニアックなもので、価格設定は廉価であり、出来と走りはそこそこ、という感じで他社と競合しないようにしているようだ。
とは言え、この003号機はなかなか気合いの入った作りである。流線型カバー、テンダーともダイキャスト製で塗装・レタリングのレベルも高い。
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パッケージは透明な車体固定具に紺色の厚紙でできた共通外装。メルクリンのものに良く似ている。
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動力はテンダードライブである。テンダーには5軸あるが、第1軸は先輪のような構造で、第2・第5軸がウオームギアによって駆動される。第3・第4軸はフリーで左右にも遊びがある構造。
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デコーダーもテンダー内に搭載され、テンダー上部のパーツを外して簡単にアクセスできる。
デコーダーは21ピンMTCコネクタ仕様で、2線バージョンにはDCCサウンドモデルがあるが、3線式にはサウンドなしのマルチプロトコルデコーダーが装着されている。しかし、スピーカーの設置スペースも確保されているため、サウンド化は容易。既存のデコーダーをメルクリンのmSDサウンドデコーダーに差し替え、スピーカー配線をハンダ付けしてスピーカー設置スペースに入れるだけである。デコーダー前方に設置されている青いディップスイッチは、発煙装置と前照灯の3灯目(上のヤツ)をon/offするためのもの。
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エンジン部は2'C2'の車軸配置。3線バージョンにはセンターシューが付く。テンダードライブなので流線型カバー内はほぼがらんどうだが、発煙装置が取り付けられるようになっている。
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走行はR360を通過出来るが、残念なことにカーブに追従するために先輪と従輪部分には流線型カバーの切り欠きがあり、非常に目立つ。発売前のイラストでは切り欠きのない姿だったのに・・・・一応静態展示用の切り欠き部を覆うパーツも付属しているのだが、動輪部までフルカバーされた姿が特徴なだけに残念である。尚、メルクリン製の002号機ではフルカバーされた状態でR360を難なく通過出来る。
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キャブフォワード(運転室が先端にある)形状で、テンダーからの給炭は自動化されているらしいのだが、テンダーとの間にも乗車スペースがある。火室のメンテナンス用?
通常の蒸機関車と異なり煙突もエンジン部後方にある。Seute #11の発煙装置を装着可能。
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実車は現存しておらず、ESUのHPにLoksound ver.4用のサウンドデータがあるが、他の機種の流用と思われる。メルクリンのサウンドデータにはBR05用のサウンドはないので、似た音を探してみる。
問題は・・・
1)シリンダー数は?
3台とも3シリンダー機として作られたはずだが、某HPの資料では003号機のみ形式表記が2'C2'h2となっている。"h2"は"h"が加熱式蒸機、"2"は2気筒を表すはずだが・・・どっちなんだろう?
(追記)
やはり他のどこを見ても003号機のみ2シリンダーとの記載はなく、参考にしたHPの記載ミスだったようだ。3気筒で良いと思われる。
2)燃料?
勝手にオイル炊きかと思っていたのだが、実際は粉炭を自動給炭機で火室内に送り込んでいたらしい。キャブフォワード形状のため給炭手を配するスペースがないためだと思われるが、すると給炭シャベル音はしないことになってしまう。オイル炊き用のものを使ったら良いのか?
自動給炭であるが、テンダー内に設置された遠心式エアコンプレッサーによる送気で粉炭を強制的に火室に送り込んでいた模様。
そのためコンプレッサー関係でかなり個性的なサウンドであったのではないかと想像する。ESUのサウンドファイルはこの辺まで再現しているのだろうか?

参考まで、こちらはメルクリンのBR05-002。
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良く見ると先輪部はほとんど目立たないが、従輪部にはフェアリングに小さな切り欠きがある。
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こちらは先輪部
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こちらは従輪。
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フラン

初コメ失礼します、このモデルは中々カッコ良いですね、しかもメルクリンの05よりディテールが細かいですね!
by フラン (2012-10-19 19:38) 

okadoc

フランさんようこそ。メルクリン製は2004年頃の設計で、ディティールは比較的あっさりしていますね。よくみると従輪のほうには控えめな切り欠きがありました。
liliputからはキャブフォワードではない001号機の発売も予定されているようです。足元の切り欠きがやはり気にはなりますが・・・。メルクリン版の足回りがどうなっているのか、今度比較してみます。
by okadoc (2012-10-26 00:57) 

フラン

連コメ失礼します、メルクリン製の裏はこのようになっていたのですね、メルクリン製05は所有しているのですが初めて見ました、しかしアップせれている写真を見ると色合い等メルクリン製がなんかチャチな感じですね^_^;
by フラン (2012-10-30 19:02) 

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