SSブログ

日本の妖怪:山姥(やまんば)&二口女 [雑学]

yamannba.jpg

先日「おはなしでてこい」について書いたが、この中で「お天道さん金の鎖」という話があった。
調べてみるまで全く知らない話だったのだが、やまんばが出てくる話のなかでは定番のようである。
ラジオで聞いた大体の内容はこうである。
3人の兄弟がいた。父親は病気で亡くなってしまって母と4人暮らしである。ある日、母親が山の中にある父の墓参りに行くことになり、子供たちは家で待つことに。そこへ「山姥」が母親のふりをして家に入ろうとするが、がらがら声や、毛だらけの手足をみて子供たちは山姥と見破り家の戸を開けない。山姥は手足にそば粉を塗ったり、うがいをしたりして再びやってきて、とうとうダマされてしまった子供たちは山姥を家にいれてしまう。夜中に山姥の正体に気づいた子供たちは木の上に逃げ、「お天道さん助けて!金の鎖ー!!」と叫ぶと天から金の鎖が降りてきて、それにつかまって二人の兄弟は天に引き上げられ、お星様になる。追いかけてきた山姥もマネをして「お天道さん、金の鎖」と叫ぶと腐った縄が降りてきて、それにつかまった山姥は縄が切れて墜落死してしまう・・・・
という話だった。

子供たちは大好きな話で、私も面白い話だな・・・とは思ったのだが、待てよ・・・何かおかしいな・・・
疑問1)兄弟は3人だったはずだが・・・・?最後は二人になっている。
疑問2)山姥が家に入った時、なぜ兄弟たちはすぐに山姥と気付かなかったか?また、山姥もなぜすぐに子供たちを食べてしまわなかったのか?

そこには恐るべき内容が隠されていたのだった。
さて、このお話は佐野浅夫さんが朗読しているのだが、山姥が家に入ってきてからの部分をなるべく忠実に書き出してみよう。
・・・子供たちが戸を開けると、山姥はさあっと風のように入ってきてしまった・・・その夜、上の二人が目を覚ますと、隣のお母さんが寝ている部屋から何かコリコリ音がする。兄弟は「お母さん、何を食べとる?」と聞くと「瓜じゃ瓜じゃ」と返事。「いいな~オイラたちにもちょうだい」すると、隣の部屋からポーンと何か投げてきた。それを見ると、なんとそれはウリどころではなく、獣の骨だった。「隣の部屋にいるのは山姥だ!」ぎょっとした兄弟は、家から逃げ出した・・・

察しの良い方ならもうお分かりだろう。
末の子は山姥に食べられてしまったのだ。
これは明確な作者のいない民話なので原典というのはないが、調べてみると実際には以下のような内容であった。
・・・子供たちが戸を開けると、山姥が入ってきてしまった。もう薄暗くなっていたので、子供たちには山姥とはわからなかった。山姥は「末の子はどこだい?」と訪ね、「お乳をやらなきゃね」と言って末の子が寝ている奥の部屋に行って、末の子を食べてしまった。
・・・その夜、上の二人が目を覚ますと、隣のお母さんが寝ている部屋から何かコリコリ音がする。兄弟は「お母さん、何を食べとる?」と聞くと「瓜じゃ瓜じゃ」と返事。「いいな~オイラたちにもちょうだい」すると、隣の部屋からポーンと投げてきたものがある。それを見ると、なんとそれはウリどころではなく、末っ子の腕の骨だった。

すごい・・・まるでホラー映画である。顔も見えないくらい薄暗い山の民家、母親に化けた妖怪、人間の骨をかじる音、「瓜じゃ瓜じゃ」のくだり・・・
昔話には怖い話も多いが、ここまでストレートなものはあまりないのではないだろうか。最後には山姥は死んでしまうが、上の兄弟も「お星様になった」=死んでしまったと考えられ、ハッピーエンドとはいえない。
さすがにこのままの内容を放送するわけにもいかず、残酷描写をカットした結果、末っ子が行方不明になってしまったのだろう。
あと、お話でてこいでは触れられていなかった部分があり、それは山姥が最後に落ちたのはそば畑で、そばの根が山姥の血で赤く染まり、それ以来そばの根は赤くなった・・・・という内容。

お話でてこいの中にもう一つ山姥が登場する話がある。
futakuchionnna.jpg
一般的には「食わず女房」と呼ばれている話で、あるケチンボの男の家に「飯は食いませんから」と言って嫁入りした女が実は妖怪で、後頭部にもう一つの口を持っており、男が留守の間にこの第二の口からバクバク米を食っており、そのうち男も捕まえて食べようとする、というもの。
この妖怪は山姥の一種(変種?)とされ、「二口女(ふたくちおんな)」とも呼ばれる。やはり日本の定番の妖怪なんだそうだ。なにしろ髪を触手のように使い、後頭部の口から食べ物を摂取するというキョーレツな奴だから、映像化したらスゴイ事になりそうだな・・・

他にもヘンテコな妖怪はたくさんいる。おもしろいなあ。日本には昔からスゴイクリエイターが居たんだなーと感心するばかりである。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。