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さとり:日本の妖怪 [雑学]

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ー覚(さとり)は、飛騨や美濃(現在の岐阜県)の山奥に住むと言われている妖怪。人の心を見透かす妖怪として知られる。
・・・私はテレビをほとんど見ない。面白くないからだ。どこのチャンネルを回しても、自称「芸人」やタレントのない「タレント」たちがしゃしゃり出てきて、温泉で「美味しい」を連発したり、キャンプやサバイバルのまねごとをやったり、下らぬクイズで見当外れなコメントを連発したり、単に内輪でしゃべっているのを延々と放送したり・・・見ていても苛つくだけの、手抜き番組が多すぎる。
3歳の息子が最近良くしゃべるようになり、保育園の友達から色々な言葉や情報を仕入れてくる。その中で、「シンケンジャー」というのがあった。正確には「侍戦隊シンケンジャー」である。「秘密戦隊ゴレンジャー」に始まる「スーパー戦隊シリーズ」で、何とシリーズ第33作目なんだそうだ。第7作にあたる「科学戦隊ダイナマン」くらいまでは見ていたのだが・・・どうせ子供向け番組、どれも似たようなもんだろう、手抜きで同じような怪人やロボットが出てきて適当に戦っておしまいなんだろ・・・と思いつつも子供に付き合って「侍戦隊シンケンジャー」を見てみると・・・これが意外に面白い、というか、「手抜きが無く丁寧に作っている」のである。
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タイトルから分かるように「武士道」「和の心」がテーマの独特な世界観が特徴で、教育という観点からか?「文字の力」や「漢字」も重要な要素になっている。悪者(敵)は「外道衆」と呼ばれ、幹部クラスの「外道衆」は七福神を不気味にアレンジしたもので、「三途の川に浮かぶ宝船」に乗っている。多分「宝船に乗った不気味な七福神」の元ネタは、異世界・妖怪漫画の第一人者である諸星大二郎氏の作品「六福神」だろう。
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各エピソードに登場する「外道衆」たちも、日本古来に伝わる妖怪がモチーフになっている。第6話「悪口王」に登場する外道衆「ズボシメシ」は、人の心を読む能力があり、気にしていることを言葉にして発するとその人に大きなダメージを(劇中では何十メートルも吹っ飛んだり、壁にめり込んだりする)与えることが出来る。放った悪口は「デブ」「穀潰し」「プチ整形」「全員失格」「落ちこぼれ」「嘘つき」「ファザコン」「一生独身」等々・・・・結構笑える。シンケンジャーのメンバーもこの技でダメージを受け、次々にやられていくのだが、中に一人、天然キャラのメンバーがいて、いくら悪口を言われてもビクともしない、というオチ。
この外道衆のモチーフになった妖怪が「覚」(さとり)である。Wikiによると、さとりは、人の姿をとるが本当は実体が無い妖怪だとか、大きなサルの姿で二足歩行する妖怪だとかいわれる。山道を歩いている時、または山中で休憩しているときに出会うとされる。こちらの思っていること全てを見透かし、こちらが口に出すよりも早くそれらをしゃべるという。こちらが何も考えないでいると退屈して消えるとか、何も考えない人間に恐れをなしてにげるとか、苦しみもがいて死ぬといわれている。山小屋にいる人のもとに現れて心を読み取り、隙あらば取って食おうとするともいい、偶然から物が覚にぶつかったりすると、予期せぬことが起きたことを恐れて逃げて行くという。
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少年漫画の名作「うしおととら」(藤田 和日郎)にもこの「さとり」が登場する。飛行機事故でたった一人生存した子供の元に、山の中で静かに暮らしていたさとりが現れる。さとりは、子供の心を読み、「草木や動物に比べて、何て沢山のことを考え、感じるんだろう!」と感動し、すっかり子供の事が好きになってしまう。子供はやがて救出されるが、事故の影響で失明しており、さとりは目を治してあげたい一心で、夜な夜な出会った犠牲者の目をえぐり取る妖怪と化す。主人公の「うしお」はこのさとりと戦うことになるのだが、繰り出す技や動きをすべて見透かされるので苦戦する。さらにさとりの優しい本心を知って・・・・というストーリー。
シンケンジャーに話を戻そう。この「ズボシメシ」の他、色々な妖怪の姿や特徴を元ネタにした怪人が各話に登場し、その造形も(子供向けとは思えないほど不気味で)手抜き無く製作されている。最後は怪人が巨大化し、巨大ロボットが合体して必殺技で倒す・・・というお決まりのパターンなのには変わりないのだが、その限られたパターンの中にいろいろな要素を突っ込んで退屈しないように・・・そしておそらくオトナが見ても楽しめるように・・・という制作者の意気込みが感じられるのだ。というより制作者自身が楽しんで作っているのか。
結果このように手の込んだ、楽しめる作品に仕上がっている。大人向けでこんなに丁寧に作られているTV番組があるだろうか? 
子供向け番組は多くの場合、玩具メーカーがスポンサーである。番組の人気度がキャラクター製品の売り上げ収入に直結するため、何が何でも面白くしなければならない、という危機感があるのかもしれない。それに比べて大人向けのTV番組はどうも気合いが足りないというか、「面白いモノを作ろう」という気持ちが伝わってこないのだ・・・
べた褒めしてしまったが、実は「侍戦隊シンケンジャー」は先日放送終了してしまった。今はシリーズ34作目の「ゴセイジャー」を放送しているが、Youtubeなどで古い番組を見ることが出来る。有り難いものだ。さて、このスーパー戦隊シリーズはアメリカでも人気で「パワーレンジャーシリーズ」としてドラマパートを現地俳優で撮り直すなどのローカライズを施され放送されてきたが、この「シンケンジャー」は漢字や日本古来のものがテーマとあって、翻訳しにくいためかローカライズされなかったようだ。それでもyoutubeなどでは英語字幕付きのものがアップされていたり、やはり良いモノはそれなりに評価されているのだろう。

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